腰痛

☆腰痛の原因

(1)腰の筋肉の疲労・緊張

(2)腰の椎間板がもろくなりつぶれる。または、 伸びて、神経にさわるために痛みが出る。
椎間板ヘルニアはこれ。

(3)骨盤や背骨の歪みのために、神経にさわって、痛みが出る。

(4)腰のあたりの背骨(腰椎)が、かがんだり反ったりするときにわずかにずれるために痛みが出る。

(5)腰の筋肉の癒着
腰痛の原因の大半は、

(1)腰の筋肉の疲労・緊張  である。少し詳しく解説してみる。
なぜ、痛みが出るほど疲労してしまうのか。

人間は、立っていても座っていても、姿勢を保つために(前や後ろに倒れないために)常に背中(腰)やおなかに力が入っている。1日中、常にかなりの負担がかかっている。次のような動作で、ますます腰の負担が増す。

○床の物を拾う
○中腰の姿勢
○おじぎ、会釈
○重い物を持つ
○猫背、前屈みの姿勢

(私の体験では、ひどい腰痛の時は、軽く会釈するだけでも腰がつらい)

このように、常に力が入っている状態が続いていると、脳が力を入れなければいけないと学習してしまい、たとえ睡眠中であっても脳が常に力を入れるように命令している状態がずっと続いてしまう。また、中腰が長時間続いたり、重い物を負担がかかるような持ち方をしてしまうと、急激に腰の筋肉が緊張して緊張がとれなくなってしまう場合もある。

☆(1)の場合の治療法

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ソフトなタッチで筋肉にさわり心地よい刺激を脳に送ると、脳からの「力を入れなさい。」という命令が解除されていく。だから、施術中にどんどん筋肉の力が抜け柔らかくなっていき、痛みが和らいでいく。

特に筋肉の緊張が原因の腰痛で、痛み始めてから間もない場合は、1~2回の施術でかなりの効果が感じられる。
☆腰痛予防のための動作の注意

○床の物を拾うとき

立ったまま(膝を伸ばしたまま)床の物を拾う動作は、ものすごく腰に負担がかかる。(だから、腰痛の人はこの動作ができまない。)面倒でも、しゃがんで物を拾いそのままできるだけ脚力で立ち上がると、腰の負担が減る。

○中腰の姿勢は、ものすごく腰に負担がかかる。できるだけ、避けたい。でも、どうしても、中腰を避けられない場合、片足を前に出して(足を縦に前後に開き)前の足の踵を上げ、前の足に体重をかけるようにすると、腰の負担は減る。
○赤ちゃんのおむつを替えるような動作も腰の負担が大きい。そんな時、正座をして片足を立て、立てた足に乗っかかるようにすると、腰の負担が減る。

○重い物を持つ時は、できるだけ自分にくっつけて持つ。自分から離すほど、腰への負担が増える。

○仰向けに寝る時、まっすぐ後ろに寝ると(まっすぐ後ろに倒れると)、腰や首の負担が大きい。横向きになってから仰向けになるようにすると負担が減る。起きる時は、仰向けから横向きになり起きる。

○同じ姿勢を長時間しない。その姿勢を保つための筋肉が疲れる。時々姿勢を変えるとか、歩くとか、背伸びするとか・・
最後にもう一つ
☆腰痛予防・腰痛回復のための日常の注意

できるだけ、腰周辺の筋肉を動かして血の巡りを良くすること。例えば、

○腰をひねる。肘を後ろに引いて後ろを見ると効果大。

○背伸びをする。背伸びをして側屈(左右に曲げる)したり、ひねったり。

○肩を回す

腰が痛いからと、安静にしているのは逆効果。動かしましょう。ただし、ぎっくり腰など、ちょっとでも動かすと痛い場合は、無理してはいけません。

更に大事なのは、腰痛でもどこが痛いのでも同じだが、お風呂にゆっくり入ること。1日2~3回はいると良い。睡眠時間を確保すること。8時間が理想。これが基本。

☆腰痛の原因の(2)腰の椎間板がもろくなりつぶれる。または、 伸びて、神経にさわるために痛みが出る。(椎間板ヘルニアはこれ。)
これについて、考えてみましょう。

まず、椎間板ってわかりますか?

背骨って、積み木が重なるように丈夫な骨が積み重なってできています。その積み木と積み木(骨と骨)の間にあるのが椎間板です。骨・椎間板・骨・椎間板・骨・椎間板・・・・と重なっています。

椎間板って、伸び縮みするんですよ。もし、椎間板が無くて背骨が1本の骨だったら、背中を丸めることも、反ることも、ねじることも、できません。椎間板が伸び縮みすることで、これらの動作ができます。

この椎間板、日中少しずつ自分の重みでつぶれていきます。朝よりも夜の方が身長が縮んでいるんです。でも、ご心配なく。睡眠中に、つぶれた椎間板は元にもどります。でも、睡眠不足が続いたり、過労で充分な疲労回復ができないでいると、椎間板が回復できなくなり、どんどんつぶれてしまい、神経にさわるまで悪化すると、腰やお尻、さらには脚まで、しびれたり痛くなったりします。この状態が座骨神経痛と言われる症状です。

歳をとると身長が縮む原因の一つが、この椎間板のつぶれです。

中年以降椎間板がつぶれると思われるでしょうが、若くてもスポーツなどで無理をすると椎間板はつぶれます。

☆(2)の場合の治療方法

椎間板のつぶれを直す手法が何種類もある。代表的なのが椎間板牽引法。この手法と症状によって、他の手法もやる。

さらに、椎間板を伸ばす自己療法を教え、椎間板が回復するように日常生活の注意を知らせる。

注意をしっかり守れば、3週間で回復する。

 

☆椎間板がつぶれるのを防ぐ方法 (日常生活で)

では、この椎間板のつぶれをどうやって防ぐか?

1番いいのは、睡眠時間をしっかり取ること。

えっ?なんだ、それだけ?と思われるでしょうが、睡眠時間が1番です。

身体は、休むと回復します。自然形体療法では、1日8時間の睡眠を勧めています。夜、8時間に不足なら、日中の昼寝をお勧めします。横になっているだけで、椎間板に圧力がかからないし、筋力を使わなくてもいいので、身体は楽。

5分でも10分でもお昼寝をすることをお勧めします。
ちなみに、椎間板は腰から首まで骨と骨の間に積み重なっていますから、過労や睡眠不足が続くと、首の椎間板もつぶれてきます。そうすると首の痛みだけでなく、肩・腕・指先まで、しびれや痛みが出ることがあります。

花粉症も首の椎間板がつぶれていると、発症しやすいですよ。首で神経にさわると、頭部の粘膜が敏感になって、花粉症がおこってきます。

予防方法として付け加えれば、

お風呂にゆっくり入ること。(お風呂上がりに、タオルを水でしぼって身体をふきます。脚→腕→身体の前→身体の後ろの順番。皮膚が引き締まって熱が逃げにくくなり、お風呂の効果が長持ちします。湯冷め防止にも)

ふとんから起きあがるとき、まっすぐ起きあがると、腰や首に(もちろん椎間板にも)ものすごい負担がかかります。ふだん腰痛がある方は、仰向けからいったん横向きになって、そこから起きるようにすると、腰に負担がかかりません。寝るときは、その逆です。
☆患者様の声     もっと早く受診していれば・・・

37才  女性   H.Mさん  パート勤務
娘さん   中2   バレーボール部

症状: 腰痛、太もものしびれ

中学生の娘が腰痛と足のしびれを訴え受診しました。

症状に関しては、専門用語を一切使わず、模型を使いながら分かりやすく説明してくださり、有り難かったです。

“自然形体””痛みのない治療”という言葉に興味津々で、施術中は先生もやりづらいと感じる程凝視していたかもしれません。すみませんでした。

広いベッドに横になり、揺すられて気持ちよさそうな娘でした。

回を重ねる毎に回復しているのが分かり、最後の施術からもうすぐ3週間になります。「痛くないか?」が口癖になってましたが、「全然!!」との返事に、結果論ですが、もっと早く受診していれば・・・・・と思います。

1日2回の入浴とストレッチ、8時間以上の睡眠を継続中。

そして、正しい姿勢を意識するよう声がけしながらやっています。痛みはもちろん、私生活の見直しと改善が出来た事にも感謝しています。どうもありがとうございました。
【院長コメント】

腰痛は動作転位。((4)腰のあたりの背骨(腰椎)が、かがんだり反ったりするときにわずかにずれるために痛みが出る。 これが原因)

足のしびれは、腰椎(腰の骨)の椎間板が少しつぶれたための症状でした。

練習を休み(病院で休むよう指示された)、施術プラス日常生活の注意を実行したので、とんとん拍子に教科書通りの回復でした。

☆症例 1

30代 男性 会社員(夜の仕事で重労働)

初来院の5日ほど前から、腰痛が始まる。その2日後ぐらいから、左臀部(お尻)、左足全体の外側の痛み。夜も寝られないほどの痛みがあった。

仰向けに寝ていると、10秒もしないうちにすぐ足が痛くなり、膝を立てると少し楽になる。

椎間板ヘルニアかどうかの検査(ラセグ徴候検査)では、ちょっと足を上げただけで痛みあり。身体を左右に揺らすだけでも痛みが出る。

1回目の治療後、その夜から痛みはあるものの寝られるようになる。(痛みが減ったということ。)

2回目3回目治療時の椎間板ヘルニアかどうかの検査(ラセグ徴候検査)では、よくなっているのが目に見えてわかる。

4回目 太ももの痛みが無くなる。寝るとき楽になり、仰向けでも寝ていられるようになる。目を見張る回復。

6回目 足の痛みはじゃっかん。腰の痛みが気になる。
身体を左右に揺らしても痛みはでなくなった。左足がだるい。

7回目 左膝を立てて、内側に深く倒しても痛みが出なくなった。
ラセグ徴候検査で、痛み無し。(この段階で、椎間板ヘルニアは治っている。)
左足のだるさは、取れた。

8回目 腰の痛みも足の痛みも全く無し。
ここまで、たったの19日間!!!!!
1日おきぐらいの治療と、会社を休んで安静を保ったことで、順調に回復。

その後、物を持つなど軽く仕事をし1度少し痛みが出たが、少し休んだだけで、自然に回復。

最後に痛みが出てから1週間経過し、かなりの労働をしても痛みが出ないことから完全に回復と判断。11回の施術で終了。

※この方は、仕事を休んで間隔をあけずに施術をしたので、早期回復しました。椎間板に負担のかかる仕事をしながらの施術では、もっともっと時間がかかります。

☆症例 2

40代  女性  看護助手

4月末にぎっくり腰になった。

12日間も仕事を休む。仕事ができるまで回復していなかったが、それ以上休むわけにはいかず、仕事に復帰する。

以来、数ヶ月。全く回復していない。症状は、腰痛と右足のしびれ。

仕事は、午前中いっぱいおむつの取り替えやシーツ交換など、ずっと中腰。
1回目の施術

椎間板の手法と腰周辺の筋肉の緊張を取る手法をしたが、ほとんど変化なし。中腰はきついので、片足を前に出すようにすると、負担が軽くなることなどをアドバイスする。

2回目  施術前の問診で、
「腰が痛いし、背中(肩甲骨の内側)まで痛くなって、もう限界です。」
と、すごくつらそう。

2回目も、1回目と手法は同じ。施術しながら、中腰の仕事を続けていけば回復にはかなりの時間がかかるだろうから、なんとかして、腰に負担がかからないようにしなければいけない・・・・・と、一生懸命考え・・・・

これはどうですか?あれはどうですか?と、患者さんと話をしながらはっと気づいた。それは、私が施術をしている格好。これなら、全く腰には負担がかからない。

その格好とは・・・・片足は正座。片足は膝立て。自分の身体のすぐ前だけで、仕事をする。膝立ての脚に 体重を乗せてもいい。病院の患者さんのベッドに座っておむつ交換をするという提案。施術終了後、この姿勢を実際にやってもらって、教えた。

更に、椎間板を回復させる自己療法。全身や腰のストレッチ。

仕事をしながら、腰をねじったり、肩を回したりして血流を良くする、筋肉の疲労をとる方法を伝授。とにかく、腰に負担がかからないように、工夫して仕事をしてください、と伝え、終了。
3回目 前回あまりつらそうだったので、短期間での改善は無理だろうなあ・・・・と思いながら。問診。

「その後、どうですか?」

「すごく、いいです。あまり痛くないです!!!」

「ほんとですか?!!!ベッドの上でのおむつ交換、できましたか?」

「できる人とできない人がいたけど、できなければ、ベッドの柵に体重を乗せたりして、工夫。シーツ交換では、ベッドの高さをたかくして、腰に負担がかからないように。」

「今までは、できるだけ安静に、動かないように、と大事にしていたけど、かえって逆効果だったんですね。仕事中に、身体をひねったり肩をまわしたり、とできるだけ、動かすようにしたら・・・・」

「今までは、この仕事をやめないかぎり良くならないだろうと、あきらめてたんです。こんなに早く良くなるなんて。」
あきらめずに、少しでも腰に負担をかけないようにいろいろな工夫をしたこと。

それに、仕事の合間を見て腰を動かし血流をよくしたこと。これが、こんなに早く回復した要因でしょう。

裏を返すと、今まで自力で回復できなかったのは、中腰のきつい仕事と、腰を動かさないように、腰を安静にしすぎたこと、ということになる。

この工夫は、ずっと続けることなど話し、自己療法とストレッチの復習をして、3回で終了。

他に院長ブログには、腰痛の症例はたくさんあるので、知りたい方は院長ブログをご覧ください。

コスモス自然形体院